経皮吸収のパイオニア

日本初の経皮吸収型製剤誕生

1960年代、素足で水田に入っていた農家の人たちが、農薬散布後に中毒症状になる事件がしばしば起きました。当初、原因は散布中に農薬を吸引したためとされましたが、その後の研究により農薬が皮膚から吸収されていたという意外な事実が判明しました。この出来事をきっかけに、当社創業者は「経皮吸収」の医薬品への応用をめざして研究を開始しました。
前例も参考文献もないなか、経皮吸収に適した成分や原薬を探り、実験と基礎データを蓄積するとともに、外用剤開発の研究会を立ち上げ、学会やシンポジウムなどを開催。それらの研究会などにおいて皮膚から薬物が吸収されることを実証し、1988年ついに国の承認を受けて日本初の経皮吸収技術を用いた貼付剤である非ステロイド性鎮痛消炎剤「アドフィード®(現在:アドフィード®パップ40mg)」を市場に送りました。
その後、鎮痛・消炎の経口薬のトップブランドである「ロキソニン®」を経皮吸収型製剤として開発し、2006年に「ロキソニン®パップ100mg」、2008年には「ロキソニン®テープ50mg」「ロキソニン®テープ100mg」を第一三共株式会社から発売。これらは今や鎮痛消炎剤の代表的な処方薬となっています。
さらに2016年には、要指導医薬品として「ロキソニン®Sパップ」「ロキソニン®Sテープ」「ロキソニン®SテープL」を第一三共ヘルスケア株式会社から新発売しています。

経皮吸収システム

必要なときに、必要な量を、必要な部位へ到達させる…これは、薬の理想といえるかもしれません。この理想の実現をめざす「薬物送達システム」(DDS/Drug Delivery System)の中でも、有効で利便性や安全性に優れているのが「経皮吸収治療システム」(TTS/Transdermal Therapeutic System)です。 TTSは薬物を皮膚から吸収・浸透させることにより、消化管での吸収や、肝臓での代謝の影響を受けずに患部へ届けることができます。消化管への副作用を軽減し、長時間安定した薬効が得られ、投薬管理が容易です。また、飲みこむとが困難な高齢者やお子さんに投与しやすく、注射剤のような痛みも伴いません。